〜 blancのひとりごと

詩集・・・世界はうつくしいと

母に本を送った。

 

 

 

『世界はうつくしいと』

 
読みやすくて、心が休まる本を探していて見つけた本。
母に送ってしまったが、私も読みたい。
 
これは心休まり、穏やかになりそうな詩集。
 

うつくしいものの話

 

うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。

風の匂いはうつくしいと。渓谷の
石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光りはうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの、曇り日の、
南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
きれいに老いてゆく人の姿はうつくしいと。

一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何ひとつ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。

 
 「世界はうつくしいと」 より 長田 弘(おさだ ひろし)

 
「うつくしいもの」を素直にただ「うつくしい」と思える感性を失いたくない。
こんな風に言葉を紡ぎ出せる人が羨ましい。
 

なくてはならないもの の話

再び詩集の抜粋。

 

なくてはならないものの話をしよう。
なくてはならないものなんてない。
いつもずっと、そう思ってきた。
所有できるものはいつか失われる。
なくてはならないものは、けっして
所有することのできないものだけなのだと。
日々の悦びをつくるのは、所有ではない。

草。水。土。雨。日の光。猫。
石。蛙。ユリ。空の青さ。道の遠く。
何一つ、わたしのものはない。
空気の澄みきった日の、午後の静けさ。
川面の輝き。草の繁り。樹影。
夕方の雲。鳥の影。夕星の瞬き。
特別なものなんてない。大切にしたい
(ありふれた)ものがあるだけだ。
素晴らしいものは、誰のものでもないものだ。
真夜中を過ぎて、昨日の続きの本を読む。
「風と砂塵のほかは、何も残らない」
砂漠の歴史の書には、そう記されている。
「すべての人の子はただ死ぬためにのみ
この世に生まれる。
人はこちらの扉から入って
あちらの扉から出てゆく。
人の呼吸の数は運命によって数えられている」
この世に在ることは、切ないのだ。
そうであればこそ、戦争を求めるものは、
なによりも日々の穏やかさを恐れる。
平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ。
本を閉じて目を瞑る。
おやすみなさい。すると、
暗闇が音のない音楽のようにやってくる。

 「世界はうつくしいと」 より 長田 弘(おさだ ひろし)

 

長田 弘さん

Wikipediaのリンクをご参考に。🔗

 

今まで詩集に興味があったけれど、なかなか手を出せなかった。

たまに手に取ることはあってもたくさんある中で、どんな風に選びとっていいか分からないこともあった。

(それはどのジャンルにも言えているのだけれど)

 

今回この詩集に出会ってこの方の他の詩集やエッセイや評論も読んでみたくなった。

 

ステイホームだし梅雨だし、読書は自宅でも楽しめる・・・。

 

 

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