空港での待ち時間、少しだけ１人になった。
平日昼間のこんな時間は滅多にないので日頃話が出来ない専業主婦をしている友達と話をすることにしていた。
心配事のことやら、Ｓのこと、彼女の近況などいろいろ話ができた。
ゆったりした彼女の話し方はとても私を楽にしてくれる。
数年前、互いに大変な状況下にあった頃、友達になったのだ。
その後、彼女は長時間勤務がたたり、健康を損ね、結婚して会社を辞める選択をした。
そんな彼女といろいろ話をしていたときに、
「５本の薔薇の意味を知ってる？」
と言われた。
私は知らなかった。
「あなたに会えて幸せ」という意味だと教えてもらった。
このサイトだと多少表現が違うが同じような意味で掲載されている。
さらに彼女は「Ｓさんは、心の中に５本の薔薇を持っていたと思うよ」と続けた。
空港で涙がじわりと出てしまった。
かろうじて、泣かなかったけれどその言葉は深く心に響いた。
私は彼女に言った。
「好きな人がいなくなると、後悔することもある。
だから、私に配偶者がいたら毎月結婚記念日とおなじ数字の日に５本の薔薇を飾ろうかな。そしてメッセージを送るかも。そうしたら、もし自分が先に逝くことになっても、残された人の後悔を少しでも減らすことができそうで慰めになりそう。」「誕生日と同じ日も追加したららいいかも。」
すると、彼女はその考えが気に入ったみたいで早速やってみると言っていた。
そして、このアイデアをとても喜んでくれた。
私には５本の薔薇を贈りたい人が沢山いる。
その分、失った悲しみは大きく深いのだ。
でもそういう人が沢山いることは幸せなのかもしれない。
お墓参りには５本の薔薇を持っていこうと思った。
