〜 blancのひとりごと

【時間】飽きっぽい私が飽きなかった時間

 

 

 
Sが他界して、半年が過ぎた。
 
全く立ち直れない。
働かなくていい身分だったら、ぼーっとしていると思う。

 

8月に入って忙しさが加速し、休み前にいろいろ勃発しある意味気は紛れるがその分夜寝る前や朝の隙間時間に大きな寂しさの穴に吸い込まれそうになる。

 

ある日曜日の夜にふと思った。

 

ベニシアさんの「猫のしっぽカエルの手」の録画を見ていた時だ。

 

私の趣味は「Sと一緒に何かをすること」だったんだ、と。

 

山登りが好きになったのは、SとSのお母様がきっかけだった。

楽しくてたくさん登った。

Sのお父様もご一緒することもあった。

 

今も山は好きだ。

 

でも・・・Sと一緒だからとても楽しかったんだと思う。

今、一人でも行こうという気持ちに全くならない。

山に行ったら思い出して悲しくなるし、他の人といっても思い出してしまうから。

 

そして、Sと何かをすると常に快適だったから比べてしまいそうだから。

 

ドライブもそうだ。

もともと車は大好きだった。

私が免許を取った後、運転ができるようになったのは、私の母とSのおかげだ。

大学の4年生で免許を取った。(就職活動前ギリギリに・・・)

「すぐに運転しないとペーパードライバーになるから」と、母やSは私の運転に付き合ってくれた。

もともと私自身、車が好きだったからありがたかった。

Sと本当にいろんな所に行った。

私が「〜〜が見たい」といえば何でも叶えてくれた。

Sはとても気がつく人で一緒に出かけると、最高に楽しかった。

他の人と行ってもSと一緒の時の快適さは得られないだろう。

私のことを本当に理解してくれていたんだと思う。

 

美術館も、もともと私の趣味だった。

Sは一緒に来てくれて、好みも似ていた。

地元を離れても、私が好きそうな東京で開催される展覧会を教えてくれた。

展覧会に予定を合わせて帰省して一緒に行っていた。

ほとんどの展覧会はSと一緒だった。

見に行った展覧会のチケットは全部Sに渡していて、整理をしてくれていた。(Sの実家にあると思う。)

絵を見る時も、背が高くない私が見やすいようにさりげなく場所を確保してくれたり、荷物を持ってくれたり、自分のペースで見ながらも、何となく互いがどこにいるか把握しながらの感じがとても自然で心地よかった。

今美術館に行って、とても困るのは泣きたくなることだ。

Sを思い出してしまうのだ。

 

茶道を始めたら、知識面で色々話すのが楽しかった。

茶の湯は歴史もあるので、歴史が好きなSはそちらの側面から色々勉強して、私にいろんな話をしてくれた。

茶道検定を取得した時も、一緒に勉強した。

会社の資格もそうだ。

勉強することがあまり好きではない私をサポートしてくれた。

(主に机に向かわせる役割・・・苦笑)

 

他にも様々なことを、Sと一緒にやって来た。

いつも私の左側にいて、私をサポートしてくれたのだ。

 

そして私が後悔しているのは、いつも「私優先」だった気がするからだ。

もっとSがしたいことを一緒にしておけばよかった。

周りは「それが楽しかったんだよ」と言ってくれるけれど、果たしてそうだったのだろうか。

 

飽きっぽい私が全く飽きなかったこと。

それは「S」であり、「Sと過ごす時間」だった。

本当に居心地が良くって、空気のようで、いてくれるのが当たり前だった。

地元を離れてからも、距離ではそばにいないのにこんなに大きな存在感があったのだ。

 

今、私が楽しくしていたことのほとんどが、Sがいなくなってする気にならない。

 

 

毎日「どうして」と考えてばかりいる。

考えても戻ってこないのは分かっている。でも考えてしまうのだ。

 

Sがいたら、

  • 「どうして」も何もなく「自分の寿命」だった
  • 悲しむな
  • 泣くな
  • (ふざけて)死んでないよ、何で泣いてるの?
  • (みんなが行けない場所を)ちょっと散歩してるだけだ
  • (宇宙レベルの)長い時間軸の間なら、死別の時間なんて数秒だ、すぐ会える

などと言いそうだ。

 

Sは現実主義だから、私が悲しみのあまりおかしくなったり、信仰に走ったりすることは絶対に嫌がる。

だから私は普通に過ごしていかないといけない。

 

私を支えてくれる人もたくさんいる。

その支えてくれる人達だって、私より長生きしてくれる保障はどこにもないのだ。

 

だから強くならないといけない。 私の人生はまだまだ続くから。

いつか私の命もなくなって、先に逝った人と会える場所があったとしたら、

真っ先にSを探し出して「ありがとう」を言いたい。

 

Sのことだから、私が探すより前に迎えに来てくれて、私が好きそうな食べ物を用意して、待ってくれているに違いない。

そして、下調べはバッチリで私が好きそうな場所に連れていってくれるに違いない。

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※この写真は、Sと北岳に登った時に見た富士山だ。

大変素晴らしい時間で、もう一度いきたいと願っていたが叶わなかった。

 

 

 

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