土曜日、いつも通り目が覚めた。
でも動きたくなかった。
あれから1日もゆっくりしていない。
引きこもろうかと思った。
二度寝をしたら、おかしな夢を見た。
二度寝の後、友達と話をしていたら、「引きこもらないほうがいいよ。マッサージでもしてきたら?」
確かに首と肩と背中はガチガチ。
疲労と緊張のせいだろう。
マッサージは行きたいが、行きたいところが今の赴任先しか思いつかず、ふと、髪を切ろうと思った。
出かけるのはしんどいけれど、これもリハビリ。
また週が明けたら毎日働くのだから。
動いた方が、身体が疲れてちゃんと眠れる。
思い立ったら早い。
いつものサロンもこちらにいる時しか行けないのだから、とインターネットで予約。
出発まで40分しかない。
もともと荷物を出すつもりで集荷を依頼していた。午後にやろうと思っていたから、猛スピードで荷造りをして、荷出しだけ父に頼んだ。
それから身支度して、家を出た。
大丈夫、ちゃんと動ける。
頭もまわっている。
そのことに安堵した。
髪型はまだ決めていない。
いつもSに聞いても、何にも言われなかった。
髪型だけではなく、いろいろ聞いても『どうせ自分のしたいようにするでしょ。』と言われていた。
今、私のしたい髪型はまだ決まっていない。
Sが旅立った日からずっと天気がいい。
最寄り駅まで歩いている間にも穏やかに暖かな陽光が降り注いで、私の気持ちとは正反対だ。
「感情を押し殺すのは良くないよ。」
そう言われているから、なるべく出すようにはしている。
でも、外では泣かない練習もしないといけない。
私は涙脆い。
よその他人様の不幸でも涙が出てしまうから、自分ごとだと尚更なのである。
でも、涙が出ることと、強く歩むことは両立する。
泣いても、強く歩む。
泣いても、時々は立ち止まりながらも前に進む。
泣いていても、何も解決しないのだ。
ここでは、冷静さを保てる。
ありたい姿を見つけ出せる。
その通りに行動しようと思える。
それでも、1日に何回かはSを偲ぶ時間を持ちたい。
青いノートと向き合う時間。
そして、そのノートが開かれなくなったら、それはそれでSは喜んでくれるだろう。
もし、余っていたら『残りは使うからもらう』なんて言われるかもしれない。
そんな日が早く来ると良い。