夏に御墓参りに行った時に、「持っていって使って」と言われたので持ち帰ってきた。
そのうちペアにしようと思っていたのに、こんな形で帰ってくるとは贈った時は考えてもみなかった・・・・。
手前のカメラは、昔私が使っていたものをSが使うといって引き取ったものだ。
これもとても綺麗に使っていて、譲った時と何ら変わりなかった。Sらしい。
贈ったのは山田平安堂の漆椀。
Sは輪島に買いにいって自分で選びたいと行っていたが、なかなか一緒に行く機会がなかった。 こんなことなら行っておけば良かった。そう思う場所がたくさんありすぎて・・・このお椀も引き取ってから、悲しくて使えずにいたが、先日ようやく使ってみた。
漆の中では、リーズナブルでじゃんじゃん使ってもらおうと思ったが、お母様曰く「すごく丁寧に使っていたの。(私に)もらったからね、きっと。」と言われてまたせつなくなった。
実際に使ってみると、軽くて使いやすい。
木目も綺麗だし、洗いやすいし、重宝している。
実家にも買いたいくらい。(だが実家の食器が多いので買いたくても減らすまで買わない。)
私が買ったのは、この商品。
写真はサイトからお借りしたが、こんな風に漆が透き通っていて、木目が綺麗に見えるのだ。
🔗:山田平安堂
木地は欅(けやき)なので丈夫。
それを職人さんの技で、薄挽きという厚み数ミリで重さも10gほどという繊細なお椀に仕上げられている。
塗りの仕上げも特別な技法でされているので、写真のように透明感があり、木目が美しく出ているのだと思う。
通常より少し黒味がかった「透き漆」を用いて、表面を流れるような刷毛の跡をつけるようにしているそうで、とても難しい技法だそうだ。
ご飯やおみおつけをよそう時に楽しくなる、そんなお椀だ。
木の器なので、保温性が高く料理が冷めにくく美味しさが長持ちするし、断熱性が高いので熱々のものでも、お椀自体が熱くならないので使いやすい。
薄挽きの技法で、口当たりも非常によく、手触りも柔らかく、軽やかでかつ艶やかな感触だ。
使う時にはまだ悲しくて、胸が痛むけれど・・・せっかくなので使おうと思う。
結婚の贈り物などにもオススメしたい品である。
🔗:山田平安堂
今も・・・あの日のことを思い出すと、足元がグラグラする。
途轍もない大きな何かが襲ってくる。
でも、不思議と踏み止まっているのはSのおかげだ。
私が自ら命を断ったり、くよくよして心を病んだり、宗教に走ったりしたら、Sは怒るだろう。悲しむだろう。
だから、そういうことはしない。
元気で明るく過ごすことが、一番なのだ。
でも、時々は泣く。Sのことを思い出すのは許してほしいと思う。